今回訪れたのは、学校法人岡田学園が運営する高塚幼稚園。広大な敷地の中に農園を有し、子どもたちは本格的な農業体験に挑戦しています。豊かな自然に触れて育つ子どもたちの姿や、小学校入学を視野に入れた教育について主任教諭の岡田成一郎先生(以下、岡田先生)にお話を伺いました。
昭和50年に開園した高塚幼稚園は、子どもたちが自分で考え、行動する力を育む保育を実践しています。敷地内には広々とした園庭や森林、農場があり、四季折々の自然に触れながらのびのびと遊ぶことができます。運動会や作品展示会、お遊戯会などの行事に参加した保護者からは「感動した!」という声も聞こえてくるそうです。
就学前教育にも注力し、正しい姿勢を保つ「立腰(りつよう)教育」をはじめ、文字の読み書き、挨拶や靴を揃える習慣など、子どもたちは日常の中で多くのことを学び、心身共に大きく成長していきます。
岡田先生「高塚幼稚園では、3年間を通してとにかく子どもたちをほめることを大切にしています。毎日の活動の中に『ぱちぱちタイム』という時間を取り入れて、頑張ったお友達に向けてみんなで拍手を送るようにしているんです。元気に挨拶ができたことや靴を上手に揃えられたことなど、日常の中のどんなに小さなことでもよくできたことや頑張った姿を認め、子どもたちの自信に繋げていきます」
農業体験を通した食育は、大きな農園を敷地内に有する高塚幼稚園の特徴の一つです。子どもたちは農園の中で苗植えや収穫などを行い、食べるまでを通して農作物の成り立ちや自然の不思議さについて学びます。
岡田先生「高塚幼稚園が行っているのは、子ども騙しではない本物の農業体験です。子どもたちは自然界で育った農作物と真剣に向き合い、土を掘ったり実った作物を収穫したり、色々な体験をします。その過程において、やる気や根性が必要になります。中には、収穫したじゃがいもが予想以上に重くて泣いてしまったり、引っこ抜くまでに試行錯誤する子もいます。そんな経験を通し、最後には大きな達成感を得ることができるのです。年長児になると、年下の子どもたちの収穫物を代わりに持ってあげる優しい姿も見られるんですよ」
取材をした日、高塚幼稚園ではじゃがいも掘りが開催されていました。「大きいじゃがいもを見つけるぞ!」と意気込む子、黙々と集中する子、お母さんと一緒に恐る恐る土に触るプレ保育の子など様々な姿がありました。土や緑に触れ、新たな気づきや疑問を得る子どもたち。高塚幼稚園の先生たちは子どもたちの「なんでだろう?」の声も大切にしています。
岡田先生「農業体験では自分で考える力も育ちます。例えば『きゅうりの実は緑なのに、花が黄色いのはなんでだろう?』といったように、子どもたちは大人が見過ごしてしまうような新鮮な疑問を持ちます。新しい発見や驚きは、子どもたちが持っている力を伸ばしてくれるはず。年間を通してこういった自然体験ができるのも、当園ならではです」
高塚幼稚園は遊びを中心とした保育を行っていますが、小学校入学を視野に入れ、生活の中のメリハリも大切に考えています。
岡田先生「小学校との接続を意識した教育を取り入れています。小学校では45分間、集中して椅子に座り授業を受けるようになります。当園では英語教育や文字指導など知育の活動を通して正しい姿勢で座る練習(立腰教育)を実践しているんです。年少は10分、年中は20分、年長は30分といったように、無理のない範囲で少しずつ座る時間を長くしていきます。こういった活動を取り入れることで、就学後の学習習慣をスムーズに身につけることができると考えています」
年長児クラスでは火曜日と水曜日、預かり保育の時間に文字指導があり、丁寧な読み書きや座り方、鉛筆の持ち方などを学びます。中には、卒園までにカタカナや漢字を書けるようになる子もいます。
また、明るく元気に挨拶をすることや、靴を揃えることも大切にしています。これらのことを厳しく教えるのではなく、遊びを通して楽しく教えているのが高塚幼稚園の特色。もちろん、子どもたちが頑張っている姿を「ほめる」ことも忘れません。
高塚幼稚園では、子どもたちの様子を保護者にも細やかに共有し、園での成長を感じられるように工夫しています。
岡田先生「ICTを活用した情報発信にも取り組んでいます。保護者に対して、クラスの様子を撮影した動画を配信したり、アプリで園の様子を伝えるなど、以前よりもコミュニケーションの手段が増えたと感じています。保護者のみなさんからも『家庭とは違う子どもの様子を見ることができて嬉しい。日々の成長を感じる』といった感想をいただいています」
預かり保育や送迎保育ステーションのサービスを利用する家庭も増え、多様なバックグラウンドの子どもたちが幼稚園に集まるようになりました。
岡田先生「保護者の中には預かり保育を利用しながらお仕事をしている方もいますが、みなさんイキイキとしていますよ。子どもたちと一緒に幼稚園の行事なども楽しんでくださっている印象です」
「働きながら幼稚園に通わせるのは難しいのでは?」と心配し、幼稚園入園を諦めてしまう方もいるかもしれませんが、園や自治体のサービスを上手に活用しながら子どもを幼稚園に通わせている先輩パパ・ママはたくさんいます。
松戸市送迎保育ステーションについてはこちらを参照
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/hoikuenyouchien/matsudo_sougei.html
私立幼稚園の預かり保育料助成制度についてはこちらを参照
https://www.city.matsudo.chiba.jp/kosodate/matsudodekosodate/kosodatenavi/hoikuenyouchien/youchien/azukarihoikuzyoseimu.html
最後に、これから幼稚園入園を検討している保護者の方に向けて、岡田先生からメッセージをいただきました。
岡田先生「高塚幼稚園は地域に開かれた園なので、ぜひ気軽に遊びに来てくださいね。園の環境や子どもたちの表情、そして頑張っている先生たちの姿も見てもらえたら嬉しいです。幼稚園って役員や行事の手伝いが大変なのでは?と心配される方もいるかもしれませんが、近年は保護者の負担をなるべく軽減できるように考慮しています。私たち教員は、保護者の方々にもお子さんと同じように幼稚園を楽しんでほしいと思っています。幼稚園はとても楽しい場所ですよ!」
また、幼稚園探しのポイントについて、岡田先生はこんなことも仰っていました。
岡田先生「幼稚園を探す際は教育方針もチェックしてみてください。高塚幼稚園は自然の中で思い切り遊び、帰りには服も泥だらけになります。そんな教育方針に共感してくださる方に、ぜひ選んでいただけたらと思います」
多くの自然に囲まれた、土と緑の匂いがする高塚幼稚園。取材中は、子どもと大人の明るい声がたくさん聞こえてきました。普段の保育の様子が気になった方は、ぜひ一度見学してみてはいかがでしょうか?
今回取材に協力してくださった高塚幼稚園のみなさん、ありがとうございました!
※今回は高塚幼稚園の取り組みを紹介させていただきましたが、すべての幼稚園で同様の取り組みが行われているわけではありません。あらかじめご了承ください。
※記事でお伝えした内容は2023年6月現在の情報になります。入園や見学などを検討されている場合はお電話等で直接お問い合わせいただくか、各園のHP等に掲載されている情報をご確認ください。
高塚幼稚園
〒270-2222
千葉県松戸市高塚新田295-3
TEL 047-392-6955
運営:学校法人 岡田学園
HP:https://takatukayoutien.com/
取材執筆/佐藤愛美(保育ライター)
取材実施日:2023年6月20日
3歳から小学校入学前までの子どもたちが通う幼稚園は、遊びを大切にした教育を展開する場所。
小学校への入学を見据え、子どもたち一人ひとりの学習の基盤を育てます。
行事を作り上げる先生たちの熱い思いや、子どもと一緒に行事に参加した保護者の感想を聞いてみました!
太陽が降り注ぐ広い園庭で、元気いっぱいにどろんこ遊びをする子どもたち。先生も子どもたちと同じ目線になって全力で遊び、全身どろんこまみれ。みんなの笑顔と笑い声が夏の園庭に弾けます。
大人が教え込まない子ども主体の保育の魅力や、本当の意味で環境や地域社会に貢献する自然教育の在り方について、園長である寺田美子先生のお話をもとにお伝えします。
広大な敷地の中に農園を有し、子どもたちは本格的な農業体験に挑戦しています。豊かな自然に触れて育つ子どもたちの姿や、小学校入学を視野に入れた教育についてお話を伺いました。
初めての幼稚園生活は、お子さんにとっても保護者の方にとってもドキドキするものです。特に入園前には見学や情報収集、面接対策など気になることがたくさんあると思います。
預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のことで、通常の時間に送り迎えが難しい就労中の保護者の方たちから注目されています。
推薦制度や送迎ステーションの仕組みについて詳しく伺いました。利用者のママたちの声もあわせてご紹介します!
幼稚園に入園できるのは年少クラスから、というイメージが強いかもしれませんが「プレ保育」や「満3歳児クラス」の仕組みを利用すると年少クラスに入る前に幼稚園に通うことができます。
松戸市では、幼稚園と連携した小規模保育施設からの「推薦制度」の導入や幼稚園の預かり保育の拡充を支援することで、共働きの家庭でも幼稚園を選択できるよう力を入れています。