「仕事をしているママが子どもを幼稚園に通わせるのは難しいのでは?」
「共働きの家庭なら子どもの預け先は保育園しかない」
そう思っている方は多いのではないでしょうか?
松戸市では、幼稚園と連携した小規模保育施設からの「推薦制度」や、幼稚園までの送迎と一時預かり保育を行う「送迎保育ステーション」など独自の制度を設け、さまざまなライフスタイルの家族が幼稚園への入園を選択できるようにしています。
今回は、松戸市のさかえ幼稚園や松戸駅西口送迎保育ステーションにお邪魔し、推薦制度や送迎ステーションの仕組みについて詳しく伺いました。利用者のママたちの声もあわせてご紹介します!
昭和46年に松戸市栄町に開園したさかえ幼稚園では、「健康な身体づくり」「豊かな心を育てる教育」「年齢混合の活動」「地域とともに」という4つのキーワードを軸にした幼児教育を行なっています。広々とした敷地の中に築かれた総二階建ての園舎では、子どもたちが集団の中でいきいきと生活しています。預かり保育をはじめ、送迎保育ステーションの利用や推薦制度も実施しているため、2号認定(3〜5歳児。就労など、保育を必要とする要件があるご家庭が受ける認定)の子どもたちも安心して通うことができる幼稚園です。
鈴木あゆみ副園長「自然豊かな環境の中で、子どもたちが自発的に遊び、様々な体験を通して豊かな感性と丈夫な体を育めるよう指導しています。一斉活動を行なっていますが、一人ひとりの姿に応じた指導を心掛けています」
鈴木祐輔事務長(以下、鈴木事務長)「仕事をしながらお子さんを預けているお母さんも増えています。そのため行事の準備などもできるだけ保護者の負担が少ないようにしていきたいと思っています。現在は発表会の衣装作りなどもありません」
推薦制度とは、松戸市内の小規模保育施設と私立幼稚園が連携して行う指定校推薦のような制度のことです。保護者からの依頼で小規模保育施設が推薦書を作成し、入園願書と共に推薦書を幼稚園に提出します。それをもとに幼稚園が選考を行い入園の可否を決定するという仕組みです。
推薦制度によって入園が確約されるわけではありませんが、推薦枠があることでスムーズに入園できる可能性が高まり、保護者の保活の負担を減らすことができるメリットがあります。また、入園した幼稚園で預かり保育を利用することにより、今までと変わらない就労形態で仕事を続けることも可能です。
鈴木事務長「当園も入園時には推薦枠を設けています。提携する小規模保育施設とも連携を図り、園庭開放や収穫体験を通して交流をしたり(※)、入園してくるお子さんの様子について情報の引き継ぎを行なったりしています」
※新型コロナウイルスの感染拡大により現在は休止中。状況を見て再開予定。
さかえ幼稚園と連携を結んでいる小規模保育施設・こすもすベビールームを運営する株式会社マザーライクの保育事業部長の小林太志さんに推薦制度についてお話を聞いてみました。
こすもすベビールームは、新松戸を中心に松戸市内で9つの小規模保育施設を運営しています。アットホームな雰囲気の中で0〜2歳の子どもたちがのびのびと遊べるように環境が工夫されています。
小林さん「小規模保育施設を卒園した後の進路について、保護者の方とお話する機会は多いですね。保育園と幼稚園は少し違うので色々と心配事があるのは当然かと思います。推薦制度はまだ始まったばかりの新たな取り組みですが、幼稚園の先生たちもそういった保護者の不安を考慮して様々なアプローチをしてくれていると感じます。私たちも卒園した子が次にどんなところで過ごすのか気になるので、今後も幼稚園との距離をもっと近いものにしていきたいと思っています。保護者の方にとっても、少しでも交流があったり推薦枠で入りやすい場所があるというのはみなさんの安心感に繋がっていくのではないでしょうか」
実際に推薦制度を利用して、お子さんがさかえ幼稚園に入園した不知火さんにお話を伺ってみました。10時から17時まで仕事をしている不知火さんは、以前はさかえ幼稚園が提携している小規模保育施設にお子さんを通わせていたそうです。令和4年度4月よりさかえ幼稚園に入園し、夕方の預かり保育も利用しています。
不知火さん「近所でも評判の良い幼稚園だったので、安心して通わせることができています。家から近く、保育時間も長いので今までと同じように仕事を続けることができて助かっているんです。入園前には説明会に参加し、幼稚園の教育について知った上で願書を提出しました」
初めての幼稚園で最初は分からないことも多かったものの、不知火さんのお子さんはすぐに幼稚園が大好きになったそうです。
不知火さん「入園したばかりの時は泣くことも多かったのですが、最近は迎えに行くと楽しそうにしています。家に帰ってきてからは、幼稚園での出来事を繰り返し話して教えてくれるんですよ。言葉や運動面でも成長を感じられるし、幼稚園で教育をしっかりと行なってくれていることが子どもの姿を通して伝わってきます」
小規模保育施設からさかえ幼稚園への入園がスムーズに決まり、お子さんはお友達や先生と一緒に楽しく過ごしているそうです。不知火さんのように推薦制度を利用することで、小規模保育施設卒園後の進路を考える際の負担が減り、保活を効率的に行うことができるようです。
松戸市では、就労する保護者のために「送迎保育ステーション」の仕組みが設けられています。送迎保育ステーションでは、保護者が朝の通勤時に子どもを預け、その後、ステーションに到着した園バスにて幼稚園へ送迎します。夕方には幼稚園からバスでステーションに戻り、保護者のお迎えを待つというシステムです。
現在は(1)松戸駅西口(2)松戸駅東口第1(3)松戸駅東口第2(4)新松戸駅(5)北小金駅(6)東松戸駅(7)八柱駅にステーションが開設され、朝のバスの出発までの時間と、夕方の保護者のお迎えまでの時間はステーションで保育を実施しています。ほとんどのステーションは最寄駅から徒歩5分以内の場所にあるため、通勤の途中にお子さんを預けやすくなっています。
松戸駅西口送迎保育ステーションの管理者である武井洋子さんに、送迎保育ステーションの取り組みについてお話を聞いてみました。
武井さん「送迎保育ステーションでは、小規模保育施設を卒園したお子さんたちをお預かりすることが多いです。しかし近年は、もともと幼稚園に在籍していた子どもたちのお母さんがステーションを利用することで、仕事の時間を延ばしお子さんをお預けするケースも増えてきました。現在は30名以上のお子さんが利用中です。幼稚園と保護者の間に立ち、保護者から聞いたことを幼稚園に申し送りしたり、幼稚園で起こった出来事や連絡事項を保護者に伝えたりしています。時には、保護者の方の悩みを聞いたり子育ての相談にも乗っています」
送迎保育ステーションがあることで、小規模保育施設にお子さんを通わせていた保護者の方も就労パターンを変えず、幼稚園に通うことを選択できるようになりました。
武井さん「働くお母さんが幼稚園を選ぶには、少々敷居が高いという声をよく聞きます。幼稚園は保育園に比べて保育時間が短く、平日に休園する場合もあります。そんな時に送迎保育ステーションを利用していただくことで、今までと同じようにお仕事を続けることができると思います。私たちも保育士として、働く保護者の方のお手伝いをできていることが嬉しいです。送迎保育ステーションの利用を検討している方は市のホームページをよくご確認いただき、申請を行なってくださいね」
松戸市 送迎保育ステーションについてはこちら
現在、松戸市内の送迎保育ステーションを利用している二人のお母さんに感想を聞いてみました。
大手町の証券会社に勤務する浅野さんのお子さんは現在は幼稚園の年少クラス。自宅の近くに送迎保育ステーションがあることを知って小規模保育施設から幼稚園への入園を決めたそうです。
浅野さん「小規模保育施設を卒園後、希望する保育園に入ることが難しいと知って悩んでいました。そんな時に市役所で送迎保育ステーションのことを教えてもらったんです。私も主人も幼稚園出身だったこともあり、自分の子もぜひ幼稚園に!と考えていたんです。園を見学し、入園を決めました」
浅野さんは自宅から近いステーションを利用し、東京都内の会社まで毎日通勤をしています。現在は時短勤務中ですが、お子さんの成長に合わせてフルタイム勤務に戻ることを希望しているそうです。
浅野さん「共働きだと幼稚園を選択することに躊躇してしまうかもしれませんが、私たちの場合は、市役所に情報を聞いて保育園と変わらない条件で幼稚園に通わせることができると知りました。ステーションの先生たちもとても丁寧に見てくださって、子どもも楽しそうに過ごしています。ステーションを利用して働きながら幼稚園に子どもを通わせるという選択肢もぜひ視野に入れてみてくださいね。おすすめです」
都内の番組製作会社に勤務中の北村さんにもお話を伺いました。仕事で変則的な打ち合わせ等が入るという北村さんも、送迎保育ステーションを利用してお子さんを幼稚園に通わせています。出社時間が早いことから朝の園バスの時間に合わせることが難しく、ステーションを利用することに決めたそうです。
北村さん「子どもが幼稚園に入ってから、自分でやろうとする意欲的な姿がよく見られるようになりました。以前通っていた小規模保育施設よりも子どもたちの人数が多いためか、友達との交流の幅が広がったようにも思います。制服や靴を自分で着脱できるようになったり、日々成長していることを実感します」
子どもを生む前から仕事をずっと続けていきたいと考えていた北村さん。お子さんの預け先を探す時も悩みながらだったそうです。
北村さん「私と夫は両親が近くに住んでいないため、いざという時に身近な人に子どもを預けることができません。仕事を続けるために子どもの預け先を探すときにも悩みました。保育園と幼稚園を色々探して比較し、最初は小規模保育施設に預けました。その後、幼稚園も預かり保育などをやっていると知り、幼稚園もいいなあと思い検討し始めたんです。現在はステーションを利用していますが、柔軟に対応してもらえてとても助かっています。土曜日も仕事が入ることがあるので、そんな時に子どもを安心して預けられる場所があるのはありがたいです。仕事を続けていきたいという思いが実現できているのは、この制度のおかげです」
保護者にとって保活の負担はなかなか大きいものです。そんな時に小規模保育施設から幼稚園への推薦制度を利用すれば進路選びもスムーズになります。
また、預かり保育や送迎保育ステーションなど、就労中の保護者を支援する様々な取り組みを活用することで、働き方や暮らし方の選択肢は大きく広がります。
子育てを応援する仕組みづくりに注力している松戸市では、保育に関して幅広い選択をすることが可能です。家族のライフスタイルやお子さんの姿に合わせ、ぜひ視野を広げて検討してみてはいかがでしょうか。
今回取材にご協力いただいた皆様、ご協力ありがとうございました。
※ご紹介した制度の内容等は、令和4年9月時点の情報です。詳しく知りたい方は、松戸市役所幼児教育課へお問い合わせください。
さかえ幼稚園
〒271-0062
松戸市栄町4-252
TEL. 047-361-0532
FAX. 047-365-8688
運営:学校法人鈴木学園
https://sakae-youchien.com/ideal/
取材執筆/佐藤愛美(保育ライター)
3歳から小学校入学前までの子どもたちが通う幼稚園は、遊びを大切にした教育を展開する場所。
小学校への入学を見据え、子どもたち一人ひとりの学習の基盤を育てます。
行事を作り上げる先生たちの熱い思いや、子どもと一緒に行事に参加した保護者の感想を聞いてみました!
太陽が降り注ぐ広い園庭で、元気いっぱいにどろんこ遊びをする子どもたち。先生も子どもたちと同じ目線になって全力で遊び、全身どろんこまみれ。みんなの笑顔と笑い声が夏の園庭に弾けます。
大人が教え込まない子ども主体の保育の魅力や、本当の意味で環境や地域社会に貢献する自然教育の在り方について、園長である寺田美子先生のお話をもとにお伝えします。
広大な敷地の中に農園を有し、子どもたちは本格的な農業体験に挑戦しています。豊かな自然に触れて育つ子どもたちの姿や、小学校入学を視野に入れた教育についてお話を伺いました。
初めての幼稚園生活は、お子さんにとっても保護者の方にとってもドキドキするものです。特に入園前には見学や情報収集、面接対策など気になることがたくさんあると思います。
預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のことで、通常の時間に送り迎えが難しい就労中の保護者の方たちから注目されています。
推薦制度や送迎ステーションの仕組みについて詳しく伺いました。利用者のママたちの声もあわせてご紹介します!
幼稚園に入園できるのは年少クラスから、というイメージが強いかもしれませんが「プレ保育」や「満3歳児クラス」の仕組みを利用すると年少クラスに入る前に幼稚園に通うことができます。
松戸市では、幼稚園と連携した小規模保育施設からの「推薦制度」の導入や幼稚園の預かり保育の拡充を支援することで、共働きの家庭でも幼稚園を選択できるよう力を入れています。