初めての幼稚園生活は、お子さんにとっても保護者の方にとってもドキドキするものです。特に入園前には見学や情報収集、面接対策など気になることがたくさんあると思います。
今回は松戸市の専修大学松戸幼稚園にお邪魔し、園長先生と現在園児の2人のお母さんたちに入園までの流れについてお話を伺いました。
「入園前にどんな準備をしたら良いの?」と疑問や不安を持っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
今回訪れたのは、松戸市上本郷にある専修大学松戸幼稚園。140年以上の歴史と伝統を誇る専修大学の付属である専修大学松戸中学校・高等学校の併設幼稚園として昭和54年に開園し、躾教育や情操教育、体験教育を中心に、時代に即した幼児教育を実践しています。
大和田義昭園長(以下、大和田園長)「本園の教育目標は『心身ともに健全で、豊かな人間性を育てる』ことです。具体的には①元気に挨拶できる子ども②お友達と仲良く遊ぶことのできる子ども③少し我慢できる子ども、この3点を重点目標として教育に取り組んでいます」
専修大学松戸幼稚園では、言葉を通じて子どもの内面を育む「サントレ教育」という幼児教育プログラムを実践しています。子どもたちは楽しく学びながら語彙を増やし、自分の言葉で気持ちを伝える経験を重ねます。また、本や文字、言葉への関心が高くなり、椅子に座りながら集中して取り組む姿勢を養います。こういった経験が就学後のベースとなり、卒園後はスムーズに小学校生活に移行できると考えられています。
松戸市では毎年10月頃になると幼稚園の願書配布や入園受付が行われます。各幼稚園ごとに願書の配布日や入園手続きの流れは異なるため、まずは希望する園に直接問い合わせてみましょう。
なお、入園に際し松戸市に申請をする必要はありませんが、入園決定後に松戸市へ「施設等利用給付認定」の申請を行ってください。幼児教育無償化に伴い、幼稚園の入園料や保育料、預かり保育料に対して助成を受けることができます。
松戸市の幼稚園利用に関する情報はこちらをチェック
まつどde子育て 幼稚園を利用する場合
・10月17日、18日
公開保育および入園説明会(※1)、入園願書配布(※2)
・11月1日
入園願書受付(※3)、親子同伴面接
・11月2日
合格発表(※4)
・11月2日〜3日
入園手続き(※5)
・11月5日
制服・体操服の採寸
・2月4日
新入園児説明会、制服・体操服・保育用品受け渡し
※1 10時から各クラスの保育内容を見学。10時30分から説明会を実施。電話予約制
※2 幼稚園事務室にて無料配布
※3 8時30分から14時まで。入園願書と申込金7千円を添えてお申込みください
※4 10時より幼稚園にて実施。封書にて結果をお知らせします
※5 入園料として8万円を納入してください。手続き後に入園が決定します
・面接受験申込料:7,000円
・入園料:80,000円(無償化の対象。実際の負担額は23,600円)
・制服、通園カバン代:男子47,390円、女子49,060円
・体操服、クラス帽子、スモック代:14,310円
・入園に際しての教材代:年少5,758円、年中7,797円
・保育料:21,000円(保育料は助成により無償)
・教育費:2,200円
・施設費:3,000円
・後援会費:1,000円
・園バス費:3,500円(利用者のみ)
・月刊本代:年少360円(1冊)/年中840円(2冊)
・サントレ教材:660円
・給食費:1食あたり330円×利用回数(希望者のみ)
★上記は2022年10月時点の情報です。今後変更になる可能性もありますのでご了承ください。また、上記以外にも年度や学年によっては諸費用がかかる場合があります。
幼稚園に入園する前に準備しておいたほうが良いことや、チェックしておきたいことについて大和田園長に聞いてみました。
大和田園長「幼稚園のことを知るには自分の目で確かめることが一番なので、実際に園を訪れて見学することをおすすめします。年少・年中・年長と年齢ごとに保育を見ていくと、成長の様子がよく分かるはずです。当園ではサントレ教育という特色ある取り組みを行っているので、ぜひこの様子を見ていただきたいです」
気になる幼稚園がある場合は、ぜひ見学に行ったり説明会に参加してみましょう。在園児の様子や、先生たちの子どもへの関わり方を実際に見ることで、幼稚園生活に対して具体的なイメージが膨らみます。
さらに、入園前に見ておくべき「園の雰囲気」について大和田園長はこのように考えています。
大和田園長「園と先生の雰囲気を重視してみてください。子どもたちの保育室での様子や先生達の子どもに接する態度を見ていただきたいと思っています。先生は子どもにとって最大の教育環境とも言える存在です。特に小さい年齢の子には影響が大きく、子どもと先生の間に信頼関係があれば自然とあたたかでいきいきとした雰囲気が生まれます。そしてもう1点、ご家庭と幼稚園の教育方針が合っているかも重要なポイントです。どんな子に育ってほしいかをよく考え、園の教育の内容もチェックすることをおすすめします」
入園したい園が決まったら、願書を提出しましょう。多くの幼稚園では入園前に面接を行います。専修大学松戸幼稚園では保護者と子どもが一緒に面接を受けます。2人の先生が面接官となり、一人が保護者、もう一人が子どもを担当し、家庭での普段の様子や入園に関することなど簡単な質問を行います。なお、時間はおおよそ10分程度で、服装は親子共に普段着の方が多いそうです。
大和田園長「面接というと緊張するかもしれませんが、お子さんの普段通りの姿を見せていただくことが我々のねらいなんです。当園の先生がお子さんと1対1で遊びながら面接を行いますのでご安心ください」
専修大学松戸幼稚園にお子さんを通わせているお母さんたちに、入園時のエピソードや園生活について聞いてみました。
松本さんと若林さんは、学びを重視する教育方針に共感しこちらの幼稚園にお子さんを入園させたいと考えたそうです。現在、お子さんたちは幼稚園生活にもすっかり慣れたそうですが、入園時の面接では緊張する姿が見られたと当時の様子を振り返ります。
松本さん「きちんとした面接の場なので少し緊張していました。ただ、普段はショッピングモールなどで他の子と一緒に遊び慣れていたためか、あまり人見知りをしなかった点は良かったと思います」
若林さん「面接の前に名前を言う練習をしていました。しかし、いざ本番になると緊張で黙ってしまいました(苦笑)」
松本さん「やっぱり緊張しますよね(笑)。でも、面接官の先生が遊びながら子どもに質問をしてくれたのは良かったです。面接の間、最初から最後までじっと座っているようなスタイルではありませんでした」
面接で緊張してしまうのは自然な子どもの姿です。あまり構えすぎず、できるだけ普段通りの姿で臨めると良いですね。幼稚園側は、家庭で過ごしている時と同じ、ありのままのお子さんの姿を知ることを目的としています。
幼稚園に入園後、お子さんたちにはどのような変化があったでしょうか?幼稚園生活がスタートした後のお子さんたちの姿についてもお母さんたちに聞いてみました。
松本さん「4月生まれなので周りの子のお世話をしようと頑張っていました。甘えん坊な性格だったのですが、入園後はしっかりしました」
若林さん「うちの子は3月生まれです。きっと他の子よりできないことが多いだろうと思っていたのですが、なんでも自分でやろうという意識が芽生えましたね。それから、サントレ教育を経験して色々なことを覚えるようになりました」
松本さん「就学前に勉強に対する苦手意識がなくなったのはサントレ教育のおかげだと思います。自分の名前のひらがなも書けるようになりました」
若林さん「サントレ教育は椅子に座って行うので集中力を養えますね。学ぶ楽しさを知るきっかけにもなります」
お子さんを幼稚園に入れて良かった!と話すお二人。最後に、幼稚園の入園を検討している保護者の方たちに向けてメッセージをいただきました。
松本さん「色々な幼稚園があると思いますが、その子に合った園を選ぶことが一番です。たくさん遊ぶ園なのか、勉強を重視している園なのか、それぞれの特色を知ってから入園を決めると良いと思います」
若林さん「見学に行ったり在園している方の話を聞いたりして情報を集めることが大切だと思います。最近は働きながら幼稚園にお子さんを預ける方も増えているので、保護者のニーズにどれだけ寄り添ってくれるかもチェックポイントです」
幼稚園は、子どもたちが生きていく上での大切な基礎をつくる場所です。お友達や先生と関わりながら、心身ともに成長していきます。これから幼稚園を探していく保護者の皆さんに、大和田園長からメッセージをいただきました。
大和田園長「子どもたちは一人ひとり違います。それぞれが自分に合った発達のペースとステップを持っているので、個々に合った適切な保育を行う必要があります。そして、子どもはみんな光るものを持っています。子どもの良いところを探し、見つけながら褒める保育を実践し『できた!』という感動を子どもがたくさん味わえるように働きかけていきます。幼児教育は人の礎を作る未来へのパスポート。『三つ子の魂百まで』ということわざの通り、幼児期の子育てのあり方が一生の心の持ち方や生活習慣などに影響を与えるのです。当園では様々な活動や遊びを通して生きる力を育てていきます。ぜひ一度見学にいらしてください」
幼稚園のことで気になることがあれば、幼稚園や市の幼児教育課に問い合わせをしてみましょう。まずは「子どもにどんな経験をしてほしいか」を考えた上で、幼稚園探しの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
取材にご協力いただいた専修大学松戸幼稚園のみなさん、ありがとうございました!
※今回は専修大学松戸幼稚園の取り組みを紹介させていただきましたが、すべての幼稚園で同様の取り組みが行われているわけではありません。あらかじめご了承ください。
※入園や見学などを検討されている場合はお電話等で直接お問い合わせいただくか、各園のHP等に掲載されている情報をご確認ください。
専修大学松戸幼稚園
〒271-8585
千葉県松戸市上本郷2-3621
TEL.047-365-1821
運営:学校法人専修大学松戸高等学校
http://www.senshu-kids.ed.jp/
取材執筆/佐藤愛美(保育ライター)
3歳から小学校入学前までの子どもたちが通う幼稚園は、遊びを大切にした教育を展開する場所。
小学校への入学を見据え、子どもたち一人ひとりの学習の基盤を育てます。
行事を作り上げる先生たちの熱い思いや、子どもと一緒に行事に参加した保護者の感想を聞いてみました!
太陽が降り注ぐ広い園庭で、元気いっぱいにどろんこ遊びをする子どもたち。先生も子どもたちと同じ目線になって全力で遊び、全身どろんこまみれ。みんなの笑顔と笑い声が夏の園庭に弾けます。
大人が教え込まない子ども主体の保育の魅力や、本当の意味で環境や地域社会に貢献する自然教育の在り方について、園長である寺田美子先生のお話をもとにお伝えします。
広大な敷地の中に農園を有し、子どもたちは本格的な農業体験に挑戦しています。豊かな自然に触れて育つ子どもたちの姿や、小学校入学を視野に入れた教育についてお話を伺いました。
初めての幼稚園生活は、お子さんにとっても保護者の方にとってもドキドキするものです。特に入園前には見学や情報収集、面接対策など気になることがたくさんあると思います。
預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のことで、通常の時間に送り迎えが難しい就労中の保護者の方たちから注目されています。
推薦制度や送迎ステーションの仕組みについて詳しく伺いました。利用者のママたちの声もあわせてご紹介します!
幼稚園に入園できるのは年少クラスから、というイメージが強いかもしれませんが「プレ保育」や「満3歳児クラス」の仕組みを利用すると年少クラスに入る前に幼稚園に通うことができます。
松戸市では、幼稚園と連携した小規模保育施設からの「推薦制度」の導入や幼稚園の預かり保育の拡充を支援することで、共働きの家庭でも幼稚園を選択できるよう力を入れています。