幼稚園が行なっている「預かり保育」という取り組みをご存知ですか? 預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のことで、通常の時間に送り迎えが難しい就労中の保護者の方たちから注目されています。
松戸市では幼稚園の「長時間の預かり保育」(以下、預かり保育)を支援しており、今回は夏休みなどの長期休暇期間も含め長時間の預かり保育を実施している、まるやま幼稚園にお邪魔し、預かり保育の仕組みや利用方法についてお話を伺いました。預かり保育を利用中のママの声も一緒にご紹介します!
昭和46年に創設され、地域社会の中で幼児教育に取り組んでいるまるやま幼稚園。親子二代に渡り通っている家族も多く、地域の人々からも親しまれています。 まるやま幼稚園の特徴は、園地6000㎡、園舎1,300㎡という広々とした環境。正門から園舎にかけて立ち並ぶ桜並木 は、春になると美しい花を咲かせてみんなの目を楽しませてくれるのだとか。広々とした中庭もあり、子どもたちが四季の自然に触れながらのびのびと遊べる環境が用意されています。
高橋和裕事務長(以下、高橋事務長)「昭和46年に設立した当園は、平成19年より新園舎に移転し、旧園舎と合わせて創立から52年を迎えました。静かで自然に恵まれた環境の中、幼児教育に情熱と愛情を持った教師陣が責任を持って大切なお子さんをお預かりしています。『生命(いのち)を大切にする教育』を教育方針の基本理念として、幼児教育を実施しています」
預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のこと。基本的には、就労や家庭の都合により通常の保育時間では送り迎えが難しい保護者が利用しています。
実施時間や期間、料金などは各園ごとに決まっています。園のホームページに預かり保育の概要を掲載している場合もあるため、利用を検討している方はぜひチェックしてみてくださいね。
以下は、まるやま幼稚園の預かり保育の概要になります。
高橋事務長「当園では、教育時間(通常の保育時間)終了後に預かり保育専用棟にて預かり保育を実施しています。基本的には、集団生活の中での学びを大切にしたまるやま幼稚園のカリキュラムに沿った保育を展開し、家庭的な雰囲気の中で好きな遊びを見つけて活動します。天気の良い日は広い園庭で元気に体を動かして遊んでいます。自分の好きな遊びを見つけることができず不安な様子が見られる子に対しては、先生が寄りそってゆったりと過ごせるように配慮しています。利用人数は月極で20名以上、多い日は60名くらい利用しているので子どもたちも寂しくありません」
預かり保育を利用する際の流れについても、高橋事務長に聞いてみました。
高橋事務長「当園の預かり保育はチケット制です。予約制ではなく(長期休暇を除く)、事前購入したチケットを利用したい当日に園児カバンに入れてもらい、担任の先生がそれを確認します。その後、預かり保育専用棟でお子さんをお預かりし、お迎えも直接そちらへ来ていただくという流れです。利用頻度の高い方のために月極めの利用料金も設定しています。また、入園年度の4月1日(土日の場合は除く)より預かり保育を実施しているため、前年度の3月31日まで保育園等に通っていた方も仕事を続けたまま幼稚園にお子さんを預けることができます」
松戸市の幼稚園で預かり保育を利用する場合は、保育料の助成制度についてもぜひ知っておきましょう。
松戸市では独自に預かり保育料の助成を実施しています。(※対象幼稚園のみ) 幼児教育無償化に伴う子育てのための施設等利用給付(預かり保育分)制度では賄いきれない預かり月ごとの保育料に関して、「松戸市私立幼稚園預かり保育助成金」で月額上限30,000円まで助成し、さらに送迎保育ステーションの一時預かり保育利用料も補助の対象となります。
申請や手続きに関する内容は、松戸市のHPで詳しく紹介しています。
まるやま幼稚園の預かり保育を利用しているママにもお話を聞いてみました。
現在、航空会社でCAとして活躍している田中さんは2児のママ。下のお子さんは小規模保育施設の2歳児クラスに通い、上のお子さんはまるやま幼稚園の年中クラスに在籍しています。
田中さん「長男が年少クラスに上がるタイミングで大阪から松戸市に引っ越してきました。当初は自分の仕事復帰のタイミングを考えて保育園に年中クラスから入園させようと検討していましたが、待機児の関係上それはなかなか難しいという現状を知りました。そこで、預かり保育が充実している幼稚園を探し、まるやま幼稚園のことを知ったんです。我が家は夫婦共に実家が遠いため、すぐに両親を頼ることができません。もしも幼稚園の預かり保育がなければ私は会社を辞めていたと思います」
田中さんは子育て支援が充実していることに期待を持ち、松戸市を引っ越し先に選んだのだとか。子どもと一緒にいざ引っ越しとなると、子育てのしやすさは無視できないポイントだったそうです。それでも、引っ越してきたばかりの頃は不安があったと当時を振り返ります。
田中さん「引っ越してきたばかりの頃は、まったく知らない環境の中で混乱していました。そんな時にまるやま幼稚園の先生たちに助けられましたね。長男が年少クラスの時の先生がとても素敵な先生で、安心感を持ってお任せすることができたんです。この先生に任せておけば大丈夫、という気持ちで幼稚園に送り出せたのは大きかったですね。家で過ごしている時も長男の口からも先生の名前がよく出てくるようになり、幼稚園に通うことが本当に楽しみなようでした。土日は幼稚園がなくてつまらないなんて言うんですよ、せっかく家族で過ごせるのに(笑)」
取材中も楽しそうに遊ぶお子さんの様子を見て目を細める田中さん。幼稚園に入園してから、お子さんの様子に嬉しい変化が見られたそうです。
田中さん「幼稚園に入ってからお友達に良い影響を受けることが増えました。たとえば、これまでは果物を私が剥いて出してあげていたのに、お弁当の時間にお友達がみかんを剥いている姿を見たらしく『自分で剥きたい』と言いだしたのでびっくりしました(笑)。幼稚園生活の中でどんどん成長しています」
仕事と子育てを並行することに不安を抱いている方はきっと少なくないはず。さまざまな選択肢の中から「幼稚園の預かり保育を利用する」ということを選んだ田中さんは、ご自身の選択に納得しているようでした。また、お子さん自身が幼稚園でお友達や先生と過ごす時間をとても楽しんでいる様子が伝わってきました。
最後に、幼稚園入園を考えている保護者の方へ、高橋事務長からメッセージをいただきました。
高橋事務長「幼稚園とは子どもが初めて出会う学校です。小学校の教育課程と関連し、幼稚園教育要領に基づく“遊び”を大切にした教育を行なっています。子どもにとってはすべてが遊びの対象です。大人から見れば学習にあたることであっても、興味や関心が湧き楽しいと感じていればすべてが“遊び”になります。子どもは遊びの中から様々なことを学んでいきますが、時には思い通りにならないことや自分の気持ちをうまく表現できない場面もあります。そんな時、教師は一人ひとりの子どもの思いを受け止め、どうしたら困難を克服できるのかを一緒に考え、支えながら成長を見守っていきます。また、幼児期にお友達と関わり、遊びの中から『できた!』『やった!』という満足感をたくさん積めるのが幼稚園の良いところだと思います。子どもたちが色々な環境にチャレンジしながら、“自分を生かして他人を認める”ことを身につけて成長できる場でありたいですね。ぜひ私たちと一緒にお子さんの成長を見守っていきませんか」
従来、共働きの家庭は幼稚園を利用することが難しいと考えられていましたが、預かり保育の制度が導入されたことにより様々なライフスタイルの家庭が幼稚園を利用しやすくなりました。今回お話を聞かせてくださった田中さんのように、預かり保育があったから仕事を続けることができたというママも多くいらっしゃいます。
高橋事務長「まるやま幼稚園では松戸駅西口と松戸駅東口の送迎保育ステーションを20名ほどの園児が利用しております。送迎保育ステーション制度のおかげで幼稚園には通わせたいが、就労等で保育園しか選べなかった保護者の方の選択の幅が広がり、その中で当園を選んで頂けたことを大変うれしく思います。また送迎保育ステーションは、土曜日など幼稚園が休園の時に園児の一時預かりをしていただけるので助かっております。
これからも更に送迎保育ステーションの数、利用者は増えることと思います。ですが、この送迎保育ステーションの制度をまだまだご存知ない保護者の方も多いはずです。幼稚園と保育を必要とするお子さんがいて幼稚園を希望する保護者の方とを結ぶこの制度は時代を鑑みて幼稚園としてもとても重要な制度と思っております」
※送迎保育ステーションの仕組みについては、次回のインタビューにて深く掘り下げていきます。
「働いているけど幼稚園も気になる……」という保護者の方は、ぜひ一度、幼稚園を見学してみてはいかがでしょうか。預かり保育に関して分からないことや気になることがあれば、現場の先生たちに気軽に聞いてみましょう。ライフスタイルや働き方に関する選択肢が広がるかもしれませんよ。
今回取材に協力してくださったまるやま幼稚園の皆さん、ありがとうございました!
※今回はまるやま幼稚園の取り組みを紹介させていただきましたが、すべての幼稚園で同様の取り組みが行われているわけではありません。あらかじめご了承ください。
※預かり保育の実施時間や料金等は園ごとに異なります。利用を検討されている場合はお電話等で直接お問い合わせいただくか、各園のHP等に掲載されている情報をご確認ください。
まるやま幼稚園
〒270-2224
千葉県松戸市大橋 372
TEL.047-330-8555
運営:学校法人まるやま学園
https://www.iiko.ac.jp/
取材執筆/佐藤愛美(保育ライター)
3歳から小学校入学前までの子どもたちが通う幼稚園は、遊びを大切にした教育を展開する場所。
小学校への入学を見据え、子どもたち一人ひとりの学習の基盤を育てます。
行事を作り上げる先生たちの熱い思いや、子どもと一緒に行事に参加した保護者の感想を聞いてみました!
太陽が降り注ぐ広い園庭で、元気いっぱいにどろんこ遊びをする子どもたち。先生も子どもたちと同じ目線になって全力で遊び、全身どろんこまみれ。みんなの笑顔と笑い声が夏の園庭に弾けます。
大人が教え込まない子ども主体の保育の魅力や、本当の意味で環境や地域社会に貢献する自然教育の在り方について、園長である寺田美子先生のお話をもとにお伝えします。
広大な敷地の中に農園を有し、子どもたちは本格的な農業体験に挑戦しています。豊かな自然に触れて育つ子どもたちの姿や、小学校入学を視野に入れた教育についてお話を伺いました。
初めての幼稚園生活は、お子さんにとっても保護者の方にとってもドキドキするものです。特に入園前には見学や情報収集、面接対策など気になることがたくさんあると思います。
預かり保育とは、幼稚園が通常の保育時間以外に子どもたちをお預かりする制度のことで、通常の時間に送り迎えが難しい就労中の保護者の方たちから注目されています。
推薦制度や送迎ステーションの仕組みについて詳しく伺いました。利用者のママたちの声もあわせてご紹介します!
幼稚園に入園できるのは年少クラスから、というイメージが強いかもしれませんが「プレ保育」や「満3歳児クラス」の仕組みを利用すると年少クラスに入る前に幼稚園に通うことができます。
松戸市では、幼稚園と連携した小規模保育施設からの「推薦制度」の導入や幼稚園の預かり保育の拡充を支援することで、共働きの家庭でも幼稚園を選択できるよう力を入れています。